高野あつし大演説会

2024年09月29日

令和6年9月29日(日)午後2時~ 奈良県コンベンションセンター天平ホールで開催され、多くの方にご参加いただきました。

令和6年9月定例会代表質問

2024年09月21日

令和6年9月定例会において、日本維新の会会派を代表して以下のとおり代表質問を行いました。

壇上での原稿を転載いたします。 少し長いですが・・・”(-“”-)”

 皆さんこんにちは! 奈良テレビをご覧の皆様、こんにちは! 日本維新の会の清水です。 

質問の前に、山下知事の政治信条について少し触れさせていただきます。

山下知事の政治信条は、

その1 「未来につけを残さない。」

その2 「正直者が馬鹿を見ないか!」「まじめに働いた者が報われるか!」「政策が公平か適法か!」

その3 「税金の無駄使いになっていないか!」「政策の効率性。」

その4 「弱者を置き去りにしていないか!」

の4項目であります。 そうですね知事!

昨年の知事就任以来、この政治信条を基本に、計画されていた大型事業の見直しを図られ、「未来につけを残さない」現実的な事業となるように一部の予算の執行停止も行われ、県政に大きな波紋を投げかけられました。特に、五條市内に計画されていました大規模広域防災拠点にあっては、1千3百万㎥もの盛土を他の公共事業から発生する土を流用して造成する計画が、およそ現実的な全体計画でないことを、山下知事の事業見直しによって県民の皆様が知ることになりました。自衛隊の大型機が離着陸できる2000m級滑走路付きの防災拠点が出来たら、唯一、陸上自衛隊の駐屯地がない奈良県の防災力、紀伊半島全体の防災力が向上するというイメージだけを信じて、ロビー活動により国の防災拠点に位置付け、未だにその重要性に言及される党もあります。私は、この計画を詳細にわたり審議することなく認めた県議会に最大の責任があると思っています。今年の元日に発生しました能登半島地震、8月8日に発生しました日向灘での地震、迷走した台風10号による被害などを考えれば、奈良県全体の総合的な防災力の向上は県民生活に直結することからも、一刻も早く推進しなければなりません!では、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い会派を代表して質問をさせていただきます

先ずは、懸案の 1.奈良県の防災対策の推進について 知事に伺います。

 今年の元日(がんじつ)には、能登半島でマグニチュード 7.6の地震が発生し、石川県志賀町、輪島市で震度 7、 七尾市、珠洲市、穴水町、能登町などで震度 6 強が観測され、8月21日現在、内閣府の発表によりますと、死者は、災害関連死を含めて341人、行方不明者3人、負傷者は1,334人、家屋全壊6,273棟、半壊20,892棟という大きな被害を被り、9月10日現在、503名の方々が避難所での生活を余儀なくされています。 そんな折、8月8日16時42分頃には、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、震源地近くの日南市では震度6弱の揺れを観測しました。このことを受けて、気象庁は、南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震の可能性が高まっているとして、同日19時15分に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表し、巨大地震への注意を呼びかけましたが、1週間が経過した15日の夕方をもって変化がないことから解除されました。しかし、夏休み中でもあり、お盆の帰省時期とも重なり、県民の皆様も随分心配されたことと思いますし、対応にご苦労されたことと思います。 南海トラフ沿いでは、過去100年から150年の間隔で巨大地震が発生しており、発生確率は70%を超えると発表されています。

 もし、南海トラフ巨大地震が発生した場合、県内では震度6強から5強の揺れが想定されており、中央防災会議の資料によりますと、死者数は約1千7百名、負傷者数は約1万8千人、家屋の倒壊は約4万7千棟と想定されています。奈良県地域防災計画(地震編)によりますと、奈良盆地東縁断層帯での内陸型地震による被害に特に注意が必要として、県内では震度7~震度5強の揺れが想定され、地盤の悪いエリアでは液状化も懸念されています。人的被害は死者約5千2百人、負傷者約1万9千人、建物被害は全壊約12万棟、半壊約8万3千棟、発災後1週間の避難者数は、奈良県人口の1/3に相当する約43万5千人に及ぶと推計されています。以上のとおり、奈良県に於ける大規模な内陸型地震である「奈良盆地東縁断層帯、中央構造線による大地震」による被害が大きいと想定されていることからも、令和6年8月20日に災害応急対策防災拠点検討部会の第4回会合の中間とりまとめ案でも、内陸型地震発災に於ける防災拠点の整備について議論が集中しています。

改めて、今年は巨大地震の恐ろしさを再認識し、地震発生時の備えの必要性を感じた年となりました。

巨大地震に対する備えは待ったなしの状況であり、被害が甚大であればあるほど、県と市町村だけではなく、国や他府県を含めた広域的な受援体制の確保が最も重要であると考えます。本年2月に、知事発表の令和6年度当初予算のうち、広域的な受援体制を検討する事業は、拙速であるとして我々「日本維新の会」の会派以外、ほとんどの会派の賛成により予算が削られてしまいました。

その後、有識者会議として「災害応急対策(防災拠点)検討部会」を発足され、五條市と橿原市を中心とした県全体の防災体制を総合的に再検討することとなり、現在も、防災体制の検討を進められていますが、一刻も早い奈良県全体の防災体制の強化が必要であります。そこで、災害応急対策検討部会の議論を踏まえ、いつ発生しても不思議ではない大規模災害に対応するため、停電時の非常用電源を備えた広域防災拠点の整備に早急に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか? 知事に伺います。

また、昭和57年大水害を私自身も経験いたしましたが、幸いにも地元王寺町では人的被害が発生いたしませんでした。8月1日から3日までの3日間で、2度に亘って王寺駅周辺地域が葛下川からの溢水により、水深5mから3mで浸水し、全壊66戸、半壊174戸、床上浸水1,445戸、床下浸水272戸という大水害を被りました。当時は、災害ゴミの分別は細かく示されておらず、地元企業のご協力もあり可燃物と不燃物程度の仕分けを行うため、2~3カ所のごみ集積地の確保で可能でありましたが、最終処分まで長期間を要したと記憶しております。

 もし、奈良盆地東縁断層帯地震が発生した場合には、建物全壊が約12万棟、半壊が約8万3千棟と推計されており、能登半島地震の被害家屋数の約8倍もの家屋被害を受けると予測され、大規模地震により発生する災害ゴミの集積場所の確保と処分を含め、市町村で処理すべき対策だけでは処理できないことも考えられます。 各市町村別の被害想定は、表をご確認ください!

そこで、大規模災害発生時には、災害廃棄物が大量に発生し、市町村の処理能力を超える事態となることが想定されることから、県による広域的な支援が必要と考えます。知事のお考えを伺います。

次に

  • 今後の奈良県医療体制の充実について 伺います。 

 令和6年3月に「奈良県保健医療計画」が定められ、『今後のさらなる少子高齢化社会において、すべての県民が、将来にわたり必要な医療、介護、福祉のサービスが適切に受けられる、質の高い効率的かつ効果的な医療提供体制の構築を目指す。』とされ、基本理念には、次の3本の柱をたてられています。

 その概要は、

1 必要な保健医療がすべての県民へ行き届くよう少子高齢化に伴い、医療ニーズの質・量が変化している中、県民の生活の質の維持・向上を図り、救急医療や高度医療を含めて、県民が安心して医療を受けられる体制を構築する。

2 医療や介護サービスの提供に必要な医療従事者等の人材確保や養成を図るとともに、医療機能の分化・連携を進め、持続可能な効率的で質の高い医療提供体制を整備する。

3 すべての県民が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、必要な医療、介護、福祉のサービスが適切に受けられるよう、切れ目なく行き届く体制を構築する。

の3本の柱です。

 また、5つの医療圏(奈良、東和、西和、中和、南和)で、病床の地域的偏在の是正を目的とし、全国一律の算定式により、都道府県が設定する病床数の上限等を定め、適切な病床数を管理されています。 西和医療圏では老朽化する西和医療センターの移転先がJR法隆寺駅南側に決定され、現在、斑鳩町のまちづくりと協働して事前調査に取り組まれ、今年度末には基本計画の策定が行われるものと思います。特に西和医療センターの移転に際しましては、地元西和7町より産科の復活を強く要望されていることから、過日、会派研修として、京都府立医科大学付属病院で、妊娠22週から産後7日までの周産期医療体制について、京都府の実態把握をさせていただきました。

京都府は、6つの医療圏で構成され3つの総合周産期母子医療センターに加えて、各医療圏に地域医療センターを配置され、妊産婦のリスクに応じた周産期医療体制を確立されています。令和5年度の分娩数は、出生数14,646人のうち、1次医療施設における正常な普通分娩が約75%、ハイリスク分娩を取り扱う6医療圏にある16の2次施設の地域母子医療センターでの分娩が約17%、高度なハイリスクの分娩を取り扱う割合は約8%であったとのことでありました。 6医療圏で胎児超音波遠隔診断システム(K-FUTS)により提携病院に対して2次的な診断も行われ、妊産婦死亡ゼロを目指されているのが特徴的であります。 しかし、奈良県と同様に医師の働き方改革、医師・看護師の確保には大変ご苦労をされている現実があります。

 奈良県保健医療計画第7章に医療従事者の確保が記載されており、令和 2年の奈良県の人口 10 万人あたりの医師数は、総数では全国平均を上回っているものの、診療科別にみますと「小児科」、「産婦人科、産科」等は全国平均を下回っています。 西和7町より要望されている西和医療センターへの産婦人科、産科を設置するにしても、基となる医療人材確保が出来ていない現状の改善が必要であることは言うまでもありません。 今後の医療分野におけるデジタル化の推進により、情報の共有方法は格段に進歩することが見込め、医療ロボット等の導入により手術時の患者への負荷が減り、入院期間も短縮されると思われますが、より高度化する医療の現場で必要な人材確保が望まれます。

 さらに、公的医療機関には奈良県全体の医療体制を守るという責任がありますが、不足する診療科の人材を確保するためには、医師などの働き方改革が必要であります。そのためには、病院経営を配慮しつつ人事配置だけではなく給与面の改善なども必要と考えます。

 法隆寺駅南に移転が決まった西和医療センターの充実に期待される声は大きく、今後進められるDX化を考慮した、妊娠22週から出生後7日までの周産期医療体制を含め、保健医療計画の目標の一つに設定されている「県民が安心して医療を受けられる体制」について、西和医療センター建設を契機として、奈良県に求められる医療体制の構築が必要です。

そこで、次の点について知事に伺います。

 JR法隆寺駅南側地区への移転が決まった西和医療センターにおいて、周産期医療をはじめとした医療提供体制の充実が期待されるなか、医療のデジタル化や医師の働き方改革への対応も含め、どのように県民が安心して医療を受けられる体制を実現されるのでしょうか?お答えください。

3点目は、

  • 教育の無償化・子育て支援の深化について 伺います。 

 人口減少社会において、出来る限りその減少スピードを鈍化させ労働者人口を確保することが喫緊の課題であることから、山下知事は就任早々に公約通りに事業見直しを行ったうえ、教育の無償化対策の一つとして、私立高等学校の授業料等の実質無償化制度をスタートされ、世帯年収910万円未満の高校生がいるご家庭の授業料無償化を令和6年度より実行され、多くの県民の皆様から歓迎されていることと思っています。他の都道府県でも、内容には差があるものの私立高校の授業料無償化が競われるようになっており、生活のことを考えて転居する方が増えてきているとの報道もあります。神戸市では、市内に在住する高校生の通学定期券補助制度が創設され本年度2学期から、神戸市内外に通う高校生の通学定期代を一定基準はあるものの全額補助(無償化)すると発表されています。現在の「奈良県私立高校の授業料等実質無償化制度」は、県内の私立高校に通学する者に限られており、近隣府県に通学する学生は対象外であります。地方税を負担する方にとっては不公平感があることは否めないことから別枠の補助制度創設が望まれています。

 人口減少社会において、奈良県が住みやすく、安全で安心して子育て施策が充実している「幸せ度の高い県」であると実感できる施策が必要であり、部局横断した多岐にわたる施策・計画の立案が必要であると私は考えます。

知事は、去る8月26日に「行財政改革推進会議」を開催され、事務・事業等の見直しや、他府県・民間・市町村との連携、広報に関する戦略策定などを主なテーマとして行財政改革に取り組むと発表されています。一例として、こども女性課が主管の「なら子育て応援団」制度では、奈良県、市町村、企業、店舗などが協働して取り組み、ならスーパーアプリに登録して頂くと、妊婦さんや18歳までの子供がいるご家庭に、商品の割引など様々なサービスを提供して子育て応援をされていますが、参加して頂く事業者さんを増やすことに加えて、多くの県民の方々への更なる啓発が必要と考えます。

また、知事は、8月20日の記者会見で教職員の働き方改革の一つとして「学校業務支援員などの各市町村に対する助成制度」の充実を発表され、着実に現状の課題に向き合った対策を実行されています。今後においては、教員の働き方改革を推進するために、部活動の「地域移行にも積極的に支援をする」とされていますが、地域での受け皿、特に吹奏楽部など大所帯の文化部に対する手法の検討が必要であると考えます。子育て世代への応援対策として、文部科学省では「学校給食の無償化を実施する各教育委員会における実態調査」を令和5年度で行われ、全国1,794自治体のうち775自治体(約43%)で給食費の無償化が実施されているとの調査結果でしたが、その財源は全てが自己財源であり、ふるさと納税、地方創生臨時交付金などで手当てされています。保護者の経済的負担の軽減、子育て支援、少子化対策、定住人口の促進など、理由は様々ではありますが、奈良県内でも既に給食費の無償化を進めている自治体は11あります。給食費の無償化は、奈良県全体で取り組む必要がある子育て支援対策の一つの大きな柱であると我々「日本維新の会」の議員団は考えています。

そこで、

1 税の公平性の観点から、今年度から始まりました県内私立高等学校授業料等実質無償化の対象となっていない県外私立高等学校等に通学する生徒の交通費に対する助成制度を創設すべきと考えています。 知事のお考えを伺います

2 次に、教職員の働き方改革として進めている中学校における部活動の地域クラブ活動への移行に向けた取り組み状況と、子育て世代にとって大きな負担となっている小中学校の給食費への助成制度創設に向けた方向性について教育長のご所見を伺います。

4点目は

4.       奈良モデルの今後についてです。

 「奈良モデル」とは 「市町村合併に代わる奈良県という地域にふさわしい行政のしくみ」であるとともに、人口減少・少子高齢社会を見据え、「地域の活力の維持・向上や持続可能で効率的な行財政運営をめざす、市町村同士または奈良県と市町村の連携・協働のしくみ」であり、『人口減少や少子高齢化が一層進む中で、奈良モデルの取組は、地域の課題を解決していくために有意義と考え、今後も、市町村の自主性・自立性を尊重しながら継続して取り組んでいきます。』 と市町村振興課のホームぺージに記載されています。

 本施策は、市町村合併が進まなかった奈良県で、広域行政のモデルを奈良県がサポートする目的で具体化されたように私は考えますが、奈良県が市町村のまちづくりに財政的な支援を含めて関与するあまり、市町村が「自立」することを諦めてしまった側面があるとも考えられます。奈良県が 今年7月に公表しました「令和3年度 奈良県県民経済計算」によりますと、令和3年度の県内実質総生産は3兆7,121億円であり、ちょうど10年前である平成23年度の3兆7,418億円と比べて、300億円近く減少(▲0.8%)しています。

また、令和3年度における、一人当たり県民所得は254万9千円であり、一人当たり国民所得の315万5千円に比べて約20%低く、関西圏で実質的には最下位の状況です。 奈良県では、平成の大合併で47自治体から39自治体に減少し、人口35万人の中核市である奈良市から人口数百人規模の自治体までがありますが、人口減少社会において近い将来には自治体経営が成り立たない団体が生まれるかもしれません。 民間の組織であります「人口戦略会議」の発表によりますと、奈良県において、2020年から2050年までの30年間で、20代から30代の若年女性人口が50%以上減少する消滅可能性自治体は、4市8町10村であると発表されています。一方、滋賀県に目を向けますと昭和43年には、50自治体でありましたが、平成22年には19自治体となり、人口は、昭和42年から増加し続け、平成 20年には140万人を超え、平成25年の約142万人をピークに、近年は人口減少に転じ、現在、約140万人でありますが、消滅可能性自治体は1市1町のみです。

 奈良県の人口推移は、1960年代後半~1990年代前半、いわゆる高度経済成長期~バブル経済期に、大阪都市圏に勤務する人のベッドタウンとして、大きく増加し、平成11年にピークの144万9千人に達して以降、平成12年から人口減少に転じています。「奈良県地方創生総合戦略」で紹介されている「奈良県人口ビジョン」によりますと、国立社会保障・人口問題研究所の2040年までの推計が、将来にわたって継続すると仮定した場合、奈良県の人口は急速に減少を続け、2060年には約84万人になると推計されています。 このため、奈良県として企業誘致などに精力的に取り組まれてはいますが、今のところ大きな成果には至っていないように思われています。

 日本維新の会は、「自立する個人」、「自立する地域」、「自立する国家」を理念に掲げております。

 先ほども述べましたが、山下知事は、8月26日に人口減で税収増が見込めない一方、福祉や子育てなど行政ニーズの増大に対応する財源を生み出すため、行財政改革推進会議を発足され、全部局に対して各事業の必要性や費用対効果から事業内容を精査するように呼びかけられました。不合理・非効率な事業の見直しやデジタル化に加え、「他府県・民間・市町村との連携」について、行財政改革を推進する視点で再検討するように指示されたと報道されています。

 そこで、奈良県の将来を見据えて、人口減少が止まらず、税収の増加が見込めない中で、基礎自治体の機能を維持し、行政ニーズの増大に対応するためには、奈良県として「自立する地域」を目指す必要があると考えていますが、「自立」に向けた市町村との関わり方について知事のご所見を伺います。

 最後に

5.  経済・観光振興に資する道路整備について(県土マネジメント部長)に伺います。

令和6年度において、5年(ごと)に見直し改定される「奈良県道路整備基本計画」が公表されると思いますが、令和元年10月改定においては、道路のあり方として「前計画の選択と集中の考え方を堅持し、骨格幹線道路ネットワークの形成を推進すると記載され、生活利便性からまちづくりに資する道路整備の推進が位置付けられ、安全・安心を支える道路整備の推進が新しく項目設定されました。

 また、道路整備の進め方にあっては、選択と集中の進化と道路整備の体系化を図るため、新規事業化における評価基準の充実と、評価実施プロセスの徹底を図ることとされています。今年度の、「奈良県道路整備基本計画」のなかで、道路のあり方、道路整備の進め方に一部変更がされるものと考えますが、コロナ禍が過ぎインバウンドが回復して、奈良県の観光政策に対して道路整備の方向によっては、観光経済に大きく影響するものと私は考えています。従来より、南北軸の動脈となる京奈和自動車道路の推進、国道168号、169号の高規格道路化は勿論推進しなくてはならないですが、奈良県観光総合戦略では、『観光振興を進め、交流人口の増加とそれに伴う経済効果を獲得していくことは重要であり、主に以下の課題があると考えられます。』と記載されています。

その概要は、

1 本県は、日帰り観光客の比率が高く、1人あたり観光消費額が低いため、1人あたり観光消費額が高い、宿泊を伴う周遊・滞在型観光を促進し、旅館・ホテル客室数を増加させ、交通・道路体系のさらなる整備や、奈良県産食材を使った美味しい食の提供により観光消費額の増加につなげる。

2 観光客が訪れたくなるような魅力を磨き上げ、新たな観光誘客につなげることが必要で、宿泊客が減少する季節に味わえる魅力を創出するなど、バラエティ豊かな観光地にしていく。

3 快適な旅行に必要な受入環境の整備を進めて、満足度を高めることで観光消費額を伸ばし、訪日外国人旅行者の誘客にもつなげる。

4 取組を持続的に推進していくための土台として、事業者、行政等がそれぞれの役割を認識し、自ら積極的かつ主体的に取り組む。

とされています。

これら4つの取り組みを推進するためには、幹線道路の渋滞を減らし、観光に対する交通体系を確立して基幹道路の整備に合わせて、国道、県道、市町村道の渋滞発生個所の改善を図る必要があり、現道の交差点改良を積極的に推進する必要があると私は考えます。昨年末、奈良の道路は、でこぼこ、ひびわれ、あなぼこだらけとして、山下知事は、奈良県が管理する道路について、今後5年間で新たに約83億円をかけて修繕・補修工事を集中的に進めていくと発表されています。事業の内訳は、傷んだ道路の舗装修繕に約60億円、劣化して見えなくなった区画線(白線)の引き直しに約3億円、道路脇から雑草が伸びてこないようコンクリートで覆うなどの対策に約20億円を計画されています。旅行者にとっては、国道、県道、市町村道の区別はなく、県道だけ道路環境が良くなっても仕方がありませんので、観光資源の周辺対策としては、それぞれの道路管理者が歩調を合わせる必要があると考えます。

そこで、今後5年間で新たに83億円をかけて集中的に進められる修繕・補修工事にあわせて、渋滞対策や歩道の整備を行うことで、道路の安全性がさらに高まり、ひいては経済・観光振興に繋がるものと考えます。 県土マネジメント部長のご所見を伺います。

 以上、壇上での質問といたします。 ご清聴ありがとうございました。

以下は答弁概要です。

  1. 奈良県の防災対策推進について

【答弁者:知事】

議員お述べのとおり、近年頻発する災害の発生状況に鑑み、停電に備えた電源確保など大規模災害への備えは喫緊の課題でございます。

先ほど西川議員への答弁でも申し上げましたとおり、現在、県の検討部会において提示された中間とりまとめにおきましては、「北部中核拠点」、「南部中核拠点」が連携・補完して災害対応にあたることとしております。

 特に「南部中核拠点」では、進出・救助活動拠点としてベースキャンプ、駐車場を、物資輸送拠点として支援物資保管庫を、航空搬送拠点としてヘリパッド、駐機場、格納庫、給油施設を整備する方針でございます。9月補正でお認め頂ければ今後、整備基本計画の策定に取り組んでまいります。

 さらに、停電時においても「南部中核拠点」を自立して運用するため、さらには、孤立集落の発生や孤立集落の長期の停電リスクにも対応するため、非常用電源の確保は重要な課題と認識してございます。

 次回以降の検討部会におきまして、「南部中核拠点」や非常用電源の確保に向けて、非常用電力の必要量や導入方法を検討し、改めて部会から提示されるものと認識しております。

 引き続き、検討部会において、大規模災害に対応する拠点整備に必要な検討を重ねて頂くよう、お願いしてまいります。また、完成後の施設運用についても、災害は想定外のことが起こるという認識で、訓練を実施しながら改善していくプロセスが重要でございます。それらを通じて、県全体の防災力の向上を図ってまいりたいと考えております。

 大規模災害発生時の災害廃棄物の処理にあたっては、県域や市町村域を超えた広域処理が想定され、国・県・市町村の迅速かつ確実な連携が必要。

 その認識のもと、東日本大震災、紀伊半島大水害の教訓も踏まえ、平成24年8月に県内全市町村及び一部事務組合と県との間で災害廃棄物等の処理に係る相互支援に関する協定を締結。

 その協定をより実用的なものにするため、平成28年3月に「奈良県災害廃棄物処理計画」を策定した。

 この計画では、被害が最も大きいとされる奈良盆地東縁断層帯地震の発生を想定し、各市町村等の処理能力等を参考に、最長でも3年以内で処理を完了する工程を示している。  また、被災市町村自らが災害廃棄物の処理を行うことが困難であると判断した場合、地方自治法に基づく事務委託の要請を受け、県が主体となり処理を行うこととしている。

 また、大規模災害発生時の廃棄物対策には、平時から実効性のある体制の整備・維持が重要であるため、次の取り組みを実施。

 被災市町村への支援が直ちに行えるよう、廃棄物行政経験職員を「奈良県災害廃棄物処理緊急支援要員」としてあらかじめ任命。この制度は平成29年から行っており、現在47名を支援要員として任命。

 国・市町村・協定締結団体と合同で、仮置き場の設置・運営、市町村支援体制 構築等を想定した図上での演習を定期的に実施。これは、H28から毎年度実施。

 発災時に市町村が災害廃棄物処理をスムーズに行うために、市町村処理計画の策定を支援。市町村処理計画については、H28年度には7市町村のみだったものが、R5年度末には29市町村に増えている。

今後とも、能登半島地震をはじめ大規模災害時の対応状況も教訓にして、平時の訓練や連携体制を随時見直し、発災時における廃棄物処理が円滑に行えるよう、引き続き取り組んでまいりたい。

【防災対策自席から要望】

平成23紀伊半島大水害でも孤立集落が発生した。避難所は指定されているものの、震災の場合は、避難所にすら行けないと考えている。水害の場合は一定の期間があるため避難が可能であるが、震災はいつ発生するか予測できないので、備えをしておく必要がある。災害弱者が巻き込まれることは間違いないので、必要な場所に必要なもの、電気、水、下水をどうやって届けるかが非常に重要である。発災3日までの人命を守るためにどのような行動が必要かということを踏まえ、より研究が必要と思う。

能登半島地震では、ボランティアの方が現地に行って感じたことを提供いただいた。災害ごみもそうだが、実際に災害ごみを運ぶのはボランティアの方がほとんどである。有害物質が含まれる場合、どう対応するかも含めて事前に検討する必要があるので、踏み込んだ検討を進めていただきたい。

災害ゴミを実際に運ぶのは、ボランティアの方々であることが考えられるが、もしそのゴミに有害ゴミが含まれていたらどう対応したらよいのか等、事前に色々なことを想定し、踏み込んだ検討を県として進めてほしい。

2 医療体制の充実について

【知事答弁】

私が知事に就任するにあたり、県民のみなさまに約束した「3つの責任」のひとつである「県民の安心と暮らしへの責任」を果たすため、議員お述べの「県民が安心して医療を受けられる体制」の整備は非常に重要なものと考える。

この体制を更に充実するため、西和医療センターをJR法隆寺駅南側に移転整備することとしている。

新しい西和医療センターにおいては、県総合医療センターとの連携を最大限に強化する必要がある。県総合医療センターは、西和医療センターに隣接する医療圏にあり、3次救急等の高度医療を提供できることから、両センターの連携により、相互の強みを生かし、限りある医療人材等の資源を有効に活用するなど、スケールメリットが期待される。

このことは、医師の負担を減らし、働き方改革につながるものと認識している。

また、連携にあたっては、議員ご指摘のとおり、医療のデジタル化も有効である。

県のデジタル戦略に基づき、病院機構の病院情報システムを更新することとしており、西和医療センターと県総合医療センターの間を高速ネットワークで繋ぐことで、患者の情報のやりとりなどが円滑となり、診療における連携がより効率的に行われるものと期待している。

このような連携の取組は、周産期医療の提供において、既に始めており、具体的には、妊婦健診と産後ケアは西和医療センターで行い、分娩は、ハイリスク分娩まで24時間対応できる県総合医療センターの周産期母子医療センターで行うというものである。新しいセンターでは、他の診療科でも、このような県総合医療センターとの連携の取組を更に進めていく。

こうした取組によって、新しい西和医療センターにおいて、より一層、県民が安心して医療を受けられる体制を構築したいと考えている。

3 教育の無償化と子育て支援の深化について

【知事答弁】

(答弁概要)

奈良で育つこどもたちが、ご家庭の経済状況にかかわらず、希望する進路を選択できるよう、令和6年度から高等学校授業料等の実質無償化をスタートした。これにより、近畿府県では大阪府や京都府に見劣りしない、充実した制度となった。まだ、制度がスタートしたばかりであり、まずは、制度の浸透を図っていくことが必要。

しかし一方で、対象外である県外の私立高等学校等に通うこどもがいるご家庭や、世帯収入が910万円以上のご家庭からは、さらなる制度の拡充を望む声があがっていることは認識している。

税を多額に支払っている世帯にメリットを享受していただくことも、重要な考え方の1つと認識しているが、限りある財源の中でまずは、より支援を必要としている世帯を対象とすべきという考えのもと、他府県の状況も踏まえ、制度設計した。

本来、子育て世帯の負担軽減は、地域によって差が生じないよう、国全体で考えるべきものである。こうした考えに基づき、本年7月に文部科学省に要望活動を行った。そして高等学校等就学支援金制度の所得制限を撤廃し、国の責任において確実に授業料の無償化を進めていただくようお願いしたところ。

 また、関西広域連合として本年6月に、近畿ブロック知事会として本年7月に、それぞれ文部科学省に対して高等学校等就学支援金制度の拡充に係る要望を行ったところ。

議員からご提案のあった県外私立高校等へ通学している生徒への交通費助成制度は、既存事業の徹底した見直しなどの行財政改革の取組により、財源の確保を進めるとともに、授業料実質無償化制度に関する県民の声を聞き、検討していきたい。

【教育長答弁】

 中学校における休日の学校部活動の地域クラブ活動への移行については、令和5年度から令和7年度までの3年間を改革集中期間と位置づけ、令和8年度からの中学校における休日の学校部活動の教員による指導を廃止するという県の方針の実現に向けて、取組を進めているところ。

その取組の一つとして、県教育委員会では、奈良県部活動改革検討委員会を設置し、学校部活動に関わる様々な立場の委員から、貴重な意見を賜りながら「奈良県 中学校部活動の地域クラブ活動への移行の手引き」を作成した。

手引きでは、地域移行の実現に向けた制度設計の手順や、地域の規模や実情に応じた移行のモデル等を示すことで、市町村による地域移行の推進を支援している。

議員お述べのとおり、文化部、とりわけ吹奏楽部の地域移行については、その受け皿となる団体や練習場所の確保、楽器の運搬、編成の規模や指導者の確保など地域の実情に左右される課題が多くある。

先に述べた奈良県部活動改革検討委員会には、奈良県吹奏楽連盟及び奈良県合唱連盟の代表者にも委員として参加していただいており、そういった関係者の意見を参考にしながら、引き続きこれらの課題を解決するための方法を検討し、市町村と共有してまいる。

次に、学校給食費の無償化については、私立学校等通学者や学校給食の提供を受けていない児童生徒への対応や自治体の取組状況の違いによる地域間の格差の是正など公平性を確保することが重要であること、また、多額の予算が必要になることから、国の施策として全国一律に取り組まれることが望ましいと考えている。県としては、国における制度設計や予算の確保について令和7年度に向けた政府予算編成に関して要望を7月に行ったところ。

昨年度は奈良県市長会からも、県から国に対して財政支援を要望するとともに、県独自の補助制度を創設するよう要望があった。この要望を踏まえ、令和5年10月に知事と奈良県市長会が県の補助制度の創設といった支援の在り方等について意見交換を行った。その時点では、学校給食費に対する様々な考え方があり、今一度、子育て支援に関する施策の優先順位を含めて議論し直す運びとなった。

それを踏まえ、令和5年11月に奈良県市町村・町村長会が、県内の全市町村を対象に、学校給食費無償化の取組状況や、県による補助制度の創設に関する意向を調査されたところ、各市町村の実情により様々な考え方が示され、意見が大きく分かれる結果となった。

県では、この調査結果を踏まえた上で、現在、国において「こども未来戦略」(令和5年12月22日閣議決定)に基づき、学校給食費の無償化の実現に向けた課題整理等を行っている状況であることを鑑み、限りある予算の中で給食費の負担軽減の財源を助成することは時期尚早と判断し、令和6年1月に開催した奈良県・市町村長サミットにおいて各市町村長にその旨をお伝えしたところ。

今後も引き続き国に対して要望を行うとともに、国の動向を踏まえながら、市町村の意向を重視し検討を続けてまいる。

【要 望】

国の動向を踏まえながら、給食費の負担軽減の財源助成へ速やかに移行できるよう研究を進めていただきたい

4 奈良モデルの今後について

【知事答弁】

奈良県では、いわゆる「平成の市町村合併」があまり進まず、とりわけ小規模市町村が多い現状。そこで、市町村同士または県と市町村との連携・協働、いわゆる「奈良モデル」を進めてきたことにより、議員お述べのとおり、これまで、地域の課題解決に一定の成果があったものと認識。

一方、今後、人口減少が一層進むことは避けられず、人的支援、財政支援をはじめとした市町村への支援を現状のまま維持することが困難になることも予想される。

このことから、市町村において、持続可能で安定的に住民サービスを提供するため、行政基盤と財政基盤の両面の強化についても、不断の努力が必要であり、県としては、頑張る市

町村に対しては積極的に支援を続ける考え。

 行政基盤に関しては、職員の確保や専門人材の育成に苦慮している市町村があることから、県では、人事交流での市町村職員の受け入れや研修の実施など、スキルアップを図る機会を設けている。

また、業務の効率化を図ることも重要。県が連携・後押ししながら、市町村に対し権限移譲の提案や環境整備を行い、逆に、県でまとめて実施した方が効率的なものは県で行うなど、県・市町村全体で、住民の利便性向上も併せて実現できるよう、積極的な連携を図ることとしている。

このほか、デジタル技術の活用も取組の一つ。これにより行政コストを最小限にし、住民の利便性を一層向上できるよう、県が共通基盤として構築した「奈良スーパーアプリ」について、市町村での利用を積極的に促進している。

財政基盤に関しては、県の責務として各市町村の状況を確認し、必要に応じ、助言等を行ってきた。また、事務・事業の効率化に加え、地域の経済活性化を図り、市町村の税収増に取り組むことが重要。本年6月に開催した県・市町村長サミットにおいて、企業誘致や観光産業の推進等に向けた土地利用の円滑化に向けて、市町村とともに取組を進めることを提案。

 今後とも、行財政基盤を強化し、県と市町村それぞれの役割を果たせるよう、県・市町村長サミットをはじめとした様々な機会をとらえて提案し、連携を図ってまいりたい

5 経済・観光振興に資する道路整備について

【答弁者:安井県土マネジメント部長】

 県では、様々な課題や多様化するニーズに対応する道路整備を、目的志向を明確にし、体系的、総合的、計画的に進めていくため、「奈良県道路整備基本計画」を、平成26年7月に策定し、本議会において二度目の改定を上程しているところです。

議員お述べの道路の修繕・補修については、「ならの道リフレッシュプロジェクト」として、本計画において道路利用者に快適な道路空間を提供することを目的に、令和6年度から令和10年度までの5年間で、舗装や区画線などを計画的に修繕していくものと位置づけています。

 この道路整備基本計画では、目的志向による道路整備の一つに「観光振興に資する道路整備の推進」を位置づけており、観光地へのアクセス性の向上や観光地間の周遊促進、観光地における回遊環境の改善を図ることとしています。

 周遊促進を図る渋滞対策については、客観的データなどを踏まえて主要渋滞箇所を特定し、県・警察・国等が連携しながら、車線運用の変更等の速効対策や、バイパス整備や交差点改良等の抜本対策を推進しているところです。

 直近の事例としては、薬師寺・唐招提寺など西の京エリアへのアクセスとなる薬師寺東口交差点において、右折レーンを設置し、令和6年3月22日に完成供用しました。

 また、観光地における回遊環境の対策として、奈良公園へのメインルートである国道369号大宮通りにおいて、歩道の舗装修繕など、歩行者の通行環境の改善にも取り組んでいるところです。

 引き続き、国や市町村など他の道路管理者と連携し、道路の安全性・快適性の向上に取り組み、周遊観光の促進による経済・観光振興につなげて参りたいと考えています。

【要  望】

 観光振興するために道路整備は必須。法隆寺近くの国道25号が無歩道の区間が多く、中宮寺周辺や西側の役場の周辺も歩道がない。観光客は、法隆寺だけでなく周辺を散策される。県道だけでなく、国道や市町村道も整備を働きかけてもらい観光振興につなげてほしい。