一般質問
2020年03月06日
令和2年3月6日 午後2時50分から一般質問を一括方式で行いました。(県議会5年目にして一般質問は初めてです。)
以下に質問原稿と答弁の要旨を進行に基づき掲載いたします。(長文となります。)
日本維新の会 北葛城郡区選出の清水です。 議長のお許しを頂きましたので、県議会2期目にして初めて一般質問をさせて頂きます。(笑)主に災害対策関連の質問です。
紀伊半島大水害を契機に平成26年3月に発刊されました歴史から学ぶ「奈良の災害史」(壇上で掲示)の巻頭に荒井知事は次のように述べられています。
一部分を紹介いたします。
『紀伊半島大水害は、明治の十津川大水害と台風の進路や大規模な土砂災害が多発した点など酷似していました。災害は繰り返すと言われていますが、私たちはこの災害で経験したことを教訓とし、次世代に継承することが重要なことを改めて知りました。
過去の災害を知り、災害に備えることは、危機管理上欠かせないことだと思います。』
過去の災害を知り、災害に備えることは、危機管理上欠かせないことだ
と挨拶をされています。
そして、この「奈良の災害史」の監修をされました牛山(うしやま)素行(もとゆき)静岡大学防災総合センター教授は、「奈良県の自然災害史から学ぶこと」として、巻末で次のように記されています。
『奈良県においても、過去には実に様々な災害が起こっている。
自分が居住する地域の過去の災害の経験や伝承は大変重要なものだが、それだけではごく限定的な知見しか得られない。
広く他の地域で発生した事象に関心を持ち、自然の姿を知ることが大変重要である。
中略します。
自然災害に伴う被害の中で、最も主要な被害は人的被害(死者・行方不明者)であると言って過言でない。
人的被害の軽減には、犠牲者がどのように遭難したかを詳しく知ることが重要である。
災害時の人的被害発生状況に関してはイメージが先行して被害実態とずれていることが少なくない。
たとえば「積極的に避難が行われたから犠牲者が出なかった」といった話は災害時によく聞く。
しかし、本当に「避難したので犠牲者が出なかったのか、「犠牲者が出るような現象がそもそも発生していなかった」のかははっきりとは分からないことも多い。
「災害のときには避難所へ」という固定的な考え方を脱却する必要性があることも近年は強調されている。
災害時にどのような行動をとることが適切かは、災害の種類や状況によって異なる。
被害を軽減していくためには、過去の災害に学ぶとともに、それぞれの土地が、どのような地形にあるのか、どのような災害が起こりうるのかを知っておくことが大変重要である。』
と締めくくられ、荒井知事と同じく、過去の災害、地形、災害発生のリスクについて述べられています。
次に、最近の奈良県内で発生しました水害のほんの一部を改めて振返り紹介させていただきます。
・昭和57年7月31日から8月3日にかけて発生しました水害・土砂災害「大和川大水害」発災時は、死者14人、行方不明者2人、負傷者38人、建物被害13,530棟でした。
この時の奈良での雨量は、31日~1日の累積で約160ミリ、2日から3日の累積雨量は約150ミリです。
・平成23年8月30日から9月4日にかけて発生しました水害・土砂災害「紀伊半島大水害」発災時の死者は14人、行方不明者10人、負傷者6人、建物被害184棟で、残念ですが、今もなお行方不明の方がおられます。
・平成25年9月16日の台風18号では、大和川藤井地点観測所水位が9.12メートルとなり、過去最高を記録しました。
・平成29年10月22日から23日にかけての台風21号では、県内各所で浸水被害が発生し、私の地元王寺町でも、床上浸水30棟、床下浸水66棟の被害が発生しました。この日の王寺地点水位観測所では昭和57年の大和川大水害時の最高水位7.54メートルを上回る最高水位8.14メートルを記録しています。
この時の奈良の累積降雨量は約196.5ミリでした。
・そして、昨年の10月12日から13日にかけての台風19号(消防庁発表;令和2年2月12日現在)では、災害関連を含む死者99人、行方不明者3人、負傷者381人、住家被害では全壊3,280棟、半壊29,638棟、一部損壊35,067棟、床上浸水7,837棟、床下浸水23,092棟、公共建物被害187棟、住家以外13,550棟、被害地域は東北地方から兵庫県まで13都県の広範囲に及び、多くの地点で過去最高の降雨量を記録しました。
神奈川県箱根町では累積1001.5ミリ、静岡県伊豆市湯ケ島では760ミリ、埼玉県秩父市秩父では545.5ミリなどです。
私の長野県に住む知人は、リンゴ農家ですが洪水により壊滅的な被害を受けたと聞き及んでいます。
国土交通省近畿地方整備局は、水害への意識を高め、命を守る行動をするために平成28年5月に想定最大規模の大和川洪水浸水想定区域図を公表され、同時に奈良県におきましても大和川水系14河川流域の洪水浸水区域を公表しています。
配布いたしております、王寺町藤井地域から斑鳩町目安付近までの想定最大規模の洪水浸水想定区域図①、計画規模洪水浸水区域図②、浸水継続時間図③をご覧ください。(パネル作成、パネル掲示)想定最大規模の前提となる雨量は12時間で316mm、計画規模の前提となる雨量は12時間で164mmとして作成されていますが、いずれの場合も王寺町内の大和川と葛下川に挟まれている部分の多くは、この条件の降雨が発生すれば広範囲に浸水被害が発生することを示しています。
計画規模の雨量は164mmで200年確立降雨相当と示されています。200年確立だから200年に1度しか発生しないと誤解さている方がおられるかもしれません。
計画規模では、計算上の確立が200年に1度であり、12時間で164mmの雨が降れば、必ず洪水が発生して浸水被害が起きることを示していることをご理解ください。
もし、昨年の台風10号のコースが数百キロ西側に進んでいれば、奈良県と同じ内陸県であります埼玉県秩父市秩父での24時間降雨545.5ミリと同様の雨が奈良に降り、大和川水系に大きな被害を起こしていたものと推測されます。
これらのことを踏まえて、次の質問に入らせていただきます。
まず1問目は、荒井知事は、9年前の東日本大震災の教訓と今後において、いつかは必ず発生する南海・東南海沖大地震に備え、令和2年度予算において、五條市内に大規模広域防災拠点の整備を計画されています。
その概要は、第1期が広域防災拠点の応援要員受入れ機能・空輸機能を確保するために平場を確保となっており、第2期は複数の回転翼機が同時に運用できるように600m級滑走路を有する大規模広域防災拠点を計画、そして第3期は大量の物資輸送が可能となる固定翼機が利用可能となる2000m級滑走路を有する大規模防災拠点へと拡大するとされており、同時に京奈和自動車道五條西ICから広域防災拠点を経由して国道168号にアクセスする道路の調査を計画されています。
この拡張計画は、リニア中央新幹線の発生残土の利用、国道168号でのトンネル工事等からの発生残土利用、京奈和自動車道大和北道路地下トンネル部分からの発生残土利用、河川浚渫土砂の利用などを、広域防災拠点の盛土材料として利用することを検討して計画されているものと理解しておりますが、それぞれの工事の工程と合致しなければ利用することは難しいかもしれません。
計画段階であり個別の詳細は多少の変更があるかもしれませんが、第1期、第2期、第3期、アクセス道路別の事業手法と財源計画について、現時点でのお考えを知事に伺います。
2問目は、先ほども一部を紹介しましたが、昨年10月12日から13日にかけて伊豆半島に上陸しました台風19号(名称;ハギビス)は、長野県、関東地方、東北地方に甚大な被害を及ぼしました。
奈良県内の大和川直轄部分及び県管理河川において、既に河川整備計画がそれぞれ策定されていますが、今後において昨年の台風19号を上回る勢力の超大型台風の発生も危惧されていますので、「平成の緊急内水対策」と併せて大和川流域市町村が一体となって市街地における浸水を含めた内水対策に取り組み、保水力の向上を図る必要があると考えます。
そこで、県土マネジメント部長に伺います。
・奈良県内の大和川流域全体の治水安全度の向上と市町村の内水対策の個別課題に対応するためには、現在推進されています「平成緊急内水対策事業」、実施中の総合治水対策事業を含めて、さらなる溜める対策のグレードアップが必要と考えます。
そのためには、水田貯留や現存の農業用ため池の気象状況に応じた事前放流による保水力の向上をさらに推進することも必要と考えます。
また、今後、各市町村個別の内水対策に対処するためにも、公共下水道事業による貯留施設の整備が最も財源的に有利だと考えますが、県として大和川流域市町村に対して「溜める対策」を推進するために、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
また、2022年には生産緑地制度が当初指定から30年が経過するため、農家の高齢化・後継者不足による離農によって、生産緑地指定を解除されると同時に、土地の宅地化が進むものと予想されています。
そこで、保水力の確保や災害時の空地確保が必要と判断される市に対して、所有者からの買い取り申し出があった場合の支援体制などについて検討することも必要ではないでしょうか。
昨年4月1日時点で、生産緑地は県下12市において571.85ha、3,036箇所が指定されております。
それぞれに全てに田んぼダムの構造を適用すれば、潅水高さ10cmの保水力があると仮定し約57万トンの保水が可能となりますので、是非とも生産緑地制度保持による保水力保全の制度設計を含めた研究について部局を超えて実施していただきますよう要望しておきます。
次に、「逃げる対策」について伺います。
洪水に対しては多くの地点での水位計増設や可視化を推進して頂いたことにより、各市町村は正確な避難勧告や避難指示の発令時期の予測が可能となっています。
また、各市町村では洪水ハザードマップなどで広く住民に周知をされていますが、多くの災害で実証されていますように、自分は大丈夫という「正常性バイアス」により適切な避難が行われない現状があります。
この「正常性バイアス」を防ぐため、「逃げる対策」について、更なる仕組み作りに市町村とともに取り組む必要があると考えますが、その際、避難所などの場所によっては単独の市町村だけで検討するのではなく隣接する市町村同士の連携も必要と考えます。
災害時における「正常性バイアス」を防ぎ、適切な避難が速やかに安全に行われるよう、「逃げる対策」にどのように取り組むのか、市町村への支援策を含め、危機管理監に伺います。
4点目の質問は、西和地域において二次救急を受け入れる重要な中核病院である西和医療センターの今後についてです。
西和医療センターは、昭和54年4月1日に県立三室病院として開院してから41年になりますが、西和地域の中核救急病院として地域の県民に広く愛されています。
平成31年4月1日現在の西和医療センターの概要は、病床数300、医師52名、看護師314名をはじめ全職員477名体制で23科の診療科を運営されています。
敷地面積は19,744㎡、センター本館建築面積18,796㎡、駐車台数185台の規模で、平成30年度の1日平均外来患者数は629人です。
この西和医療センターのあり方検討が令和元年度から実施されていますが、関連して次の各点について医療政策局長に伺います。
1つ目;病院本館南病棟の耐震応急対応の設計費が令和2年度予算に計上されましたが、応急対応により現状の耐震性能D判定からどの程度改善が期待できるのでしょうか、また、応急工事の実施に当たっては入院患者の方々への配慮が必要と考えられますが、どのような対策を考えられているのでしょうか伺います。
2つ目;あり方検討では、病院の移転も含めて検討をされるとのことで、移転先の候補地として王寺駅周辺地区まちづくり基本構想で王寺駅南側電車留置線部分を含めて候補地として検討されています。
ところが、王寺駅周辺を含めて王寺町の大和川と葛下川に挟まれた部分の大部分が大和川洪水浸水想定区域であります。
先ほどお見せしました図面のとおり(再度掲示する)、一定の降雨により洪水が発生する地域であることを理解した上で候補地の一つとされているのか伺います。
3つ目は、移転候補地であります王寺駅南の周辺道路の令和元年度路線価は、1㎡あたり15万5千円です。(坪当たりでは約51万円)商業地域でもあり、仮に西和医療センターと同等の床面積2万㎡の事業系・住宅系の建造物が出来れば、自治体にとっての生命線である地方税(固定資産税や住民税など)の一定確保が出来るわけですが、王寺駅周辺地区まちづくり基本構想の策定に当たって、西和医療センターは地方税法第348条の規定に該当する施設であり、固定資産税を課すことができないことを王寺町は了解済みなのでしょうか、また、その議論をされたのか伺います。
テレビをご覧の方に地方税法第348条の一部をご紹介します。
『第1項に 市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。』と定められています。
知事は昨日の県下自治体の財政状況に対する答弁において、自治体のお財布状況を改善するには「出をおさえ、入りを図る」→『歳出を抑制し独自財源を確保する』と仰っていました。 全く同感です。
私は、駅前の商業地域には大きな財源となるであろう事業系施設を建設すべきと考えます。
4つ目です。 西和地域の二次救急を受け入れる中核病院であります西和医療センターを、日当り乗車客約24,000人が集中する奈良県西和地域のターミナルであるJR王寺駅南側に全部移転する場合の大きなメリットは何なのでしょうか?
私は、人が集中する場所には、今回の新型コロナウィルスなどの感染症に対するリスクもあり、受診をされる外来患者さんにとっては大きな不安要素となると考えます。
5つ目;西和医療センターは、西和地域の方々が主に利用されていますが、今後、王寺駅南に移設を計画する場合には、事前に奈良県、王寺町、王寺駅周辺関係市町での議論が必要と考えますが如何でしょうか伺います。
最後に受動喫煙対策について要望をいたします。
2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立し、本年4月1日より全面施行され、事業者の皆様だけではなく国民の皆様におかれても、望まない受動喫煙を防止するための取り組みがマナーからルールへと変わります。
たばこ1箱の税負担は63.1%であることも鑑み、第1種施設、第2種施設において適切な対策を実施されるよう全ての関係者へ周知徹底されるよう要望をして壇上での質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(約23分10秒)
<答弁> 一括
(知事答弁概要)
検討中の大規模広域防災拠点は、これまで紀伊半島を襲ったことのない規模の災害を想定しており、奈良県の災害の歴史だけでなく東日本大震災の教訓から学ぶというのが一つのポイントであり、その大規模性と空からの救難救助という点が含まれている。
大規模災害発生時に備え、救助要員の集結、救援物資の集積・配送機能などを有する広域防災拠点の整備が是非とも必要であり、さらに紀伊半島全体の後方支援拠点としての機能を担う面からも、大量の物資を搬送できる最新の輸送機の離発着ができる滑走路を有する大規模広域防災拠点の整備は重要な課題と認識している。
当該事業は、大規模な盛土工事が想定され、全体の整備には時間を要するため、3期に分けて段階的な整備をする構想。防災拠点の効果を早期に発現するため、第1期・第2期事業を優先的に進めることとして、地元の調整に入っているところ。
財源確保策としては、緊急防災減災対策事業債の延長や対象事業の拡充を引き続き国に要望するとともに、事業間の連携・調整により、他の公共事業で発生する建設残土の有効活用を行うなど、コスト縮減方策も検討する予定。
公共工事の発生土砂を利用するというのがひとつのポイント。1期はプレディアゴルフ場近辺の切土・盛土を利用、2期は近隣の168号の新天辻トンネルの土を利用、3期はリニア中央新幹線の発生土砂、これは7年後くらいに工事が開始されるが、その前に環境影響評価による土砂発生の可能性もある。その他、京奈和自動車道の大和北トンネル部分の土砂も利用できたらと思っている。
さらに、大規模広域防災拠点の機能を充分に発揮するためには、京奈和自動車道の五條西ICから市街地郊外を通過し、大規模防災拠点につながり、国道168号に接 続するアクセス道路の整備も必要。
アクセス道路については、五條市長からも必要性を要望され、五條市で事業実施に向けた関係者の協力について調整頂けることも確認できたため、昨年11月に県の調査路線として決定した。現在、具体的なルートや構造の検討を進めているところ。南海トラフ巨大地震発生のリスクが指摘される中、地元五條市と緊密に連携し、一刻も早い防災機能の発現を目指し、大規模広域防災拠点の整備を進めてまいる所存。
(県土マネジメント部長答弁概要)
県では、これまでも、大和川流域の浸水被害軽減について、「ながす対策」と、「ためる対策」とを組み合わせて推進してきた。
「ためる対策」については、平成30年度より、奈良県平成緊急内水対策事業を推進しており、現在、100年に1度の大雨にも耐えられることを目標にグレードアップの検討も行っているところ。
議員からお話のあった水田貯留は、平成29年から着手し、今、22箇所で実施している。ため池の事前放流による空き容量の確保も、現在、20箇所強くらいで実施されていると聞いている。また、公共下水道事業による貯留施設は、緊急対策としては、全体計画の策定手続き等に時間を要する課題はあるが、昨年12月に開催された市町村長サミットにおいても、「ためる対策」のグレードアップの対策メニューの1つとして、市町村に話はさせていただいたところ。
今後、平成緊急内水対策事業のグレードアップを含め、大和川流域全体の治水安全度を向上するため、引き続き、市町村と、これらの対策や取組事例などを共有するとともに、市町村の意向も踏まえながら、計画策定といったところに技術不足の市町村もあることから、技術的な支援を行うなど、連携をさらに強化しながら、ためる対策に取り組む。
(危機管理監答弁概要)
昨年の台風19号による関東甲信地方・東北地方を中心とした災害では、ハザードマップや避難先についての理解不足、また、「避難をしない」「避難が遅い人」が多かったことなどが被害を拡大させた。
現在進めている奈良県地域防災計画の改定では、近年の災害でも大きな課題となった「避難」を一番のポイントとしている。
いわゆる正常性バイアスによる避難の遅れが生じないよう、「自らの命は自らが守る」意識の徹底と正しい避難行動を周知すること、地域の危険性についての理解促進のためハザードマップの内容が正しく住民に伝わるよう努めることなど、県、市町村、住民が取り組むべき内容をまとめている。
すでに、新たな取組として、昨年9月に、桜井市忍阪地区において、専門家の助言のもと、住民が参加して、地域の災害リスクや避難経路を確認するなど、実際の災害を想定した実践的な避難訓練を行っている。
県では、この訓練結果をとりまとめ、市町村や住民の皆様が避難訓練を実施する際の手引きとして活用できるように「避難訓練マニュアル」を作成している。
今後、このマニュアルを活用し、県内各地で実践的な避難訓練を実施することにより、住民の皆様の意識醸成を図り、適切な避難行動を身につけていただくことを期待している。
これからも、地域防災計画をもとに、市町村と連携し、「自らの命は自らが守る」という意識の徹底、正しい避難行動についての周知啓発、避難訓練などの取組の継続的な実施などを通じて、県民の大切な命を守る取組を進めていく。
(医療政策局長答弁概要)
西和医療センターの病院本館南病棟の耐震対策については、今年度、外来や入院患者への影響や診療機能の制限をできるだけ抑えるため、応急に対応が必要な箇所・工法の調査を実施し、対応策をとりまとめた。
病院を稼働させながら工事をすることから、安全対策や騒音、振動などをできるだけ抑制し、患者の皆様のご理解を得ながら進めてまいりたいと考えている。令和2年度予算に、応急対応策に基づく詳細設計費用を計上させていただいており、設計完了後、早期に工事を開始したいと考えている。これにより、耐震性能は計算上、IS値0.3以上0.6未満の「C」に、今の「D」から「C」に改善される見込みである。
移転の場合の候補地である王寺駅南側は、議員お述べのとおり、大和川洪水浸水想定区域となっており、大和川が氾濫した場合、3mから5mの浸水が想定されている。公的医療機関には、災害に強い病院であることが求められていることから、水害発生時における災害拠点としての役割をどう確保するのかも課題の一つと考えている。
一方で、西和医療センターの患者は約90%が西和7町と香芝市、広陵町から来院されており、移転することにより、病院へのアクセス利便性の向上が図れること、また、医療従事者の確保の面で通勤アクセス向上によるメリットがあることから、今後これらの観点も考慮して検討していく必要があると考えている。
王寺町は、平成30年5月に策定された「王寺駅周辺地区まちづくり基本構想」において、王寺駅南側エリアに西和医療センターの移転を含めた構想を示されている。
現在、県及び病院機構が連携して、西和医療センターのあり方検討を実施しており、その立地はまだ検討中であるが、県あるいは地方独立行政法人が所有する固定資産については、地方税法第348条に基づき固定資産税の課税ができないことは、王寺町は認識されたうえで基本構想を策定されたと伺っている。
西和医療センターのあり方検討の内容を踏まえ、来年度以降、地元市町村、関係機関等と意見交換を行い、立地場所を含めた西和医療センターの整備の方向性の検討を深めていきたいと考えている。
再質問
【更問1】
できるだけ有利な予算を確保する必要がある中、緊防債(緊急防災対策債)の期間が限られているが、今後どのように進めていくのか。
また、自衛隊の誘致について、自衛官充足率92%で、昨年の奈良県からの入隊が88名の状況についてどのように考えているのか。
(知事答弁概要)
緊防債は相当有利であるため利用したいと考えている。これほど大きな事業費に緊防債が適用されたことはないので、延長と適用について要望している。事業は奈良県のためだけでなく紀伊半島全体のためを想定しており、和歌山県、三重県などからも早期整備の要望があるくらいなので、そのような国の補助が適用されるよう引き続き要望していきたい。
また、新しい財源の仕組みの知恵が出ないかどうか、国と一緒に考えていきたいと思っている。
広域防災拠点整備は自衛隊の誘致活動から始まったことなので、県が想定している防災拠点の整備が出来たら自衛隊は大変誘致にのってくる、行きたいというような話は聞いている。駐屯地になると常駐ということになるので組織上さまざまな課題もあるが、毎年自衛隊駐屯地誘致の陳情に行っており、大変乗り気になっていただいているように感じているところ。
【更問2】
奈良県からの新規入隊数が88名という状況についてどのように考えているのか。
(知事答弁概要)
奈良県は自衛隊の基地が唯一ない県であり、自衛隊の志望者が少ない県である。紀伊半島大水害では本当に助けていただいたので、十津川とか南の人は感謝の横断幕を張られた。駐屯地に来ていただくと親和性が発生する。また、日頃の自衛隊の活動を拝見されると、自衛隊の意義を分かって頂けるような事があるかと思う。
もう一つ、自衛隊の方々は割と若くして卒業されるので、卒業されても、五條近辺、南和の方で働いていただけるとありがたい、ということも申し入れている。不足している森林などの作業、労働は、自衛隊の人が大変力になられると思うので、その仕組みなどはこの基地が現実化してくると、卒業された後、南和吉野方面を引き続き愛されて、家族とともに老後をおくられるような仕組みも知恵を出していけたら、と思っている。
<要望>
西和医療センターについて、今後も慎重な検討を加えていただきたいと思う。昨日の一般質問において、秋本議員が、災害時の障害を持たれた弱者の方を例に出して仰った。特に病院は災害時に弱者を抱えることになるので、慎重な検討を期待する。
【一般質問は25分の持ち時間しかありません。)
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