令和4年6月定例会代表質問
2022年06月23日
昨日6月22日に参議院通常選挙の公示が行われ選挙戦に入った中での代表質問となりました。
ロシアによるウクライナ侵略のため、急な円安の進行、物価高に対して賃金改定は追い付かない状況であり、県民生活を直撃しています。
私共、日本維新の会は30年もの長きにわたって成長しなかった日本経済を立て直すためには行政改革と機構改革をセットで行い、社会保障制度改革・規制改革・税制改革の三位一体改革を実行することが必要であるとして「日本大改革プラン」を発表しています。
改革なくして成長無しであります。
本年2月24日にロシアによるウクライナへの侵略が始まり、4か月が過ぎようとしていますが、未だに終わりが見えない状況であり、ウクライナ国内では多くの一般人が戦禍に巻き込まれていることから、日本政府の積極的な人道支援を望みます。
日本の隣国の状況を見れば、有事の際のあらゆる事柄に対しての議論を進めて、対策を考えなければならないと改めて考えています。
その中には、戦後一度も国民的議論の対象と出来なかった「憲法改正」や現実の核に対する脅威から国民を守る方法を議論することも勿論含まれます。
さて、生活の基盤である日本の食料自給率は、カロリーベースで約37%と非常に低い状況であることから、政府は45%を目指すと発表しており、奈良県においても農林・畜産・水産業に対して重点的な取組が望まれるところです。
また、日本のエネルギー自給率は約12%で、エネルギー資源のほとんどを国外からの輸入に頼っている状況であり、輸入に依存しないエネルギー資源の確保についても、地方からも独自の積極的な対策が望まれます。
この侵略戦争のことを考えれば、食料とエネルギーの確保は国民生活の要であり、毎年、日本で廃棄される600万トン以上の食糧問題と併せて大きな課題であり、更なる目標のかさ上げが必要であります。
さらに、政府はデジタル化の推進のために、テレワークの推進、携帯電話料金の値下げによるスマートフォンの普及、マイナンバーカードの普及拡大などに取り組んでいますが、他国に比べてデジタル化が遅れており、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う各種の助成金の支給事務において顕著な遅れが生じ、国民から多くの批判を受けたところです。
また、最近では持続化給付金にかかる詐欺事件も発生していますが、申請時に個人を特定するためマイナンバーを利用するようにしていれば、事件は防げたのではないか、との指摘もあり、マイナンバーカードを含めたデジタル化の普及拡大とセキュリティー対策も、重要な課題となってきています。
これらのことを念頭に、本年2月に発表されました奈良新『都』づくり戦略2022から以下の項目について、知事に伺います。
① 先ず、医療分野におけるデジタル化についてです。
現在、国を挙げてマイナンバーカードの普及拡大を進めているところですが、令和4年4月1日現在の交付率の全国平均が43.3%のところ、奈良県の交付率は47.4%で全国3位であり、これも県内各自治体のご苦労の賜物と考えております。今後も、来る6月30日から始まる追加のマイナポイント事業により、普及が更に進んでいくものと期待しております。
県では、本年3月、マイナンバーカードの普及とマイナンバー・法人IDの利活用をデジタル原則の第1番目に掲げた「奈良デジタル戦略」を策定されました。
その中では、行政手続き・業務の組み直しによる行政サービスの刷新をはじめとする8つのテーマと、それぞれにおける重点プロジェクトが定められ、戦略の推進方針も定められたところです。
このうち、医療分野におけるデジタル化については、「医療」「福祉」「救急」間の医療情報の連携や、電子カルテ等病院システムのクラウド化・共同化が重点プロジェクトとして挙げられています。
国においても医療分野におけるデジタル化に取り組まれ、2020年 3 月27日 改定の厚生労働省のデジタル・ガバメント中長期計画では、医療分野におけるデータの標準化の取組として、医療機関等における医療情報システムで取り扱うデータの標準化の推進が挙げられ、医薬品コードや病名マスター等を保健医療分野の標準規格として認定、引き続き産官学で連携して必要な標準規格の整備を図るとともに、医療情報化支援基金の活用等による電子カルテシステム等の標準化を推進する、とされています。
また、健康診断などの電磁的記録様式の標準化の取組として、健康診査情報の利活用を促進するため、特定健診以外の健康診断などについて、2020 年度中に標準的な電磁的記録様式を定める予定とし健康診断などの分析・活用を進めるため、2022年度を目処に標準化された形でデジタル化・蓄積する方策も含め、2020年夏までに工程化を行う、との目標の設定がされているところです。
しかし、コロナ禍もあって予定通りの工程で進んでいないものと推察し、示されたスケジュールが遅れているとも聞き及んでいるところです。
そこで、知事にお伺いします。
電子カルテ等の病院システムのクラウド化と共同化をはじめとした奈良県の医療分野におけるデジタル化について、現状と課題、今後の目標についてお聞かせください。
【知事答弁】
本年3月に策定した「奈良デジタル戦略」では、住民目線での住民の課題解決等を出発点に「デジタル化によりできること」を実現することが基本スタンスと考えています。
ご質問の「医療分野におけるデジタル化」についても、住民の課題解決に役立つ「できる化」を追求していきたいと考えています。
その一つとして、デジタル化により、病院や介護施設等の異なる施設の情報を結びつけることで、一人ひとりに最適な医療サービス等を提供することができるようにしていきます。
例えば、高齢の方で、基礎疾患があり、介護を受けておられる場合、医療機関にある電子カルテの情報を、ご本人の承諾のもと、介護施設でも確認できるよう連携させることで、その方の体の状態に合わせた最適な医療・介護サービスを提供することが可能となります。
また、救急搬送の場面でも、救急隊が患者の病歴や服薬などの医療情報を把握し、搬送先医療機関の医師等とオンラインで共有することができれば、より迅速かつ的確な処置に繋げられます。
これらを実現するための第一歩として、県では、県立系病院の電子カルテをはじめとした病院情報システムのクラウド化・共同化を進めたいと思っています。
これにより、一人ひとりにより良い医療サービスの提供を可能とするとともに、システムの開発・維持に係る人的・資金的な負担の軽減を図りたいと考えています。
まず、今年度は、県立系病院のシステムのクラウド化・共同化について課題を整理したうえで、秋頃を目途に、具体のシステムやスケジュール等の概略をとりまとめたいと考えています。
また、来年度に病院情報システムの更新を迎える南和広域医療企業団については、こうした方針を共有し、それに基づいて、諸準備を始めていただいています。
県では、県民の皆様に、「便利で暮らしやすい社会になった」と実感していただけることを目指して、医療分野におけるデジタル化の取組を推進したいと考えています。この分野は、効果が見えるようになる分野だと考えています。
➁ 次は、西和医療センターの今後のあり方と王寺駅周辺のまちづくりについてです。
西和医療センターは、西和広域圏自治体と住民の強い要望により、昭和54年に開院しましたが、施設の老朽化と耐震性能の不足を解消するため、現状、県において新センターの整備基本構想の策定が進められています。その中では、現地での建替えとJR王寺駅南側を移転候補地とする移転建替えの検討がされているとのことです。
当センターの概要によれば、許可病床数300床、医師89名、看護師302名、薬剤師19名、その他検査技師など80名を擁する地方独立行政法人奈良県立病院機構に属する2次救急病院であり、敷地面積は、19,744㎡、センター本館床面積18,796㎡等とされ、敷地内には同病院機構の看護大学校も併設されています。
奈良県は、平成30年5月22日に、王寺町との間でまちづくりに関する基本協定を締結されました。基本協定締結にあたり策定された王寺駅周辺地区まちづくり基本構想では、西和医療センターの移転候補地の一つとして、王寺駅南側のJR電車留置線の機能移転後の跡地が挙げられています。
私は、平成30年6月定例会の代表質問で、『駅ターミナルを抱える市町村や行政界付近に鉄道駅を有する市町村が、駅を中心とした生活圏で必要な公的施設の整備等を進めるに当たり、受益と負担の公平性確保の観点から、生活圏にある市町村全体で受益に応じた負担を求める仕組みづくりはできないでしょうか。』と、自転車駐輪場・駐車場の整備例により、ターミナル駅を抱える自治体のジレンマについて質問しました。
その時の知事の御答弁は『公の施設の便益が周辺の市町村にも及ぶ現象はスピルオーバー効果と言われるものでございますが、その負担のあり方というのは県も勉強してまいりたい・・・』と答弁されました。王寺町とのまちづくり基本協定が締結されたのも、ちょうどこの質問の時期です。
知事のお考えには、西和地域の中心地でもある王寺駅近くに、用地の確保が難しくとも、県が西和医療センターを設置することで、商業地域としてのまちづくりを基本としつつ、将来的には行政の垣根を超えた西和医療圏の中心地にもなるように、との願いが含まれているものと推察します。(96)
過日、私は令和3年度西和医療センターのあり方検討業務委託の成果品について情報公開請求をさせていただきました。
開示いただいた資料、西和地域における広域的な地域包括ケアの姿と西和医療センターの役割(案)(図―1)、新西和医療センターにおける医療連携・医介連携の姿(案)(図―2)、ワーキンググループによる計画図を見ますと、色々と思うところがあります。
まず、最初に質問させていただいた今後の医療分野におけるデジタル化の進展を考慮すると、西和医療センターの移設を検討するにあたり、患者とかかりつけ医、かかりつけ医と基幹病院である西和医療センター、地域の病院と西和医療センターのそれぞれの位置づけや役割を再整理したうえで、これらの役割分担を踏まえて西和医療センターに求められる機能、例えば外来診療機能、入院病床、救急医療機能、サテライト機能などの整理が必要と考えます。
そのうえで、私は外来診療機能や医療連携部門と入院病床とが必ずしも同一場所でなくても良いのではないかと思っています。
また、例えば救急車で基幹病院に搬送された場合は、退院しても、多くの場合は外来に通う必要があることから、最近では大きな病院が駅前のテナントビルなどに、サテライト機能を有する診療所を開設する例もありますが、当センターについても、デジタル化の進展を踏まえ、このような機能を含めたあり方を検討していく必要があると思います。
現在、王寺駅南側の電車留置線全ての移設には費用、移設先の確保等を含めて多くの困難があることから、現在、南側の一部区域と王寺町の現有施設エリアを対象に、西和医療センター移設の検討が行われています。
開示いただいた資料を参考に計画地を独自に推定致しましたのが、この図です。お示ししています図の通り東西約177ⅿ、南北約56ⅿ、即ち、王寺駅南駐車場と王寺駅南広場西駐輪場、JR西日本のメンテナンスエリアを加えた敷地面積は約9,895㎡であり、緊急車両の進入動線は、国道25号から分岐し、葛下川を横断する専用の橋梁から2階部分の車寄せに接続するものと考えられます。
また、開示いただいた資料では駐車場についても検討されています。現在の同センターにおける車通勤職員は223人であり、職員の約45%に相当することから、計画場所から5分圏内に職員用駐車場を確保することや、来院用として地下駐車場114台と、不特定多数の路外駐車場として、病院敷地近くに1,750㎡の敷地の確保が検討されています。
王寺駅周辺において、まちづくりに活用できる場所は限られていますので、狭い面積に無理に病院全体を移設しようとするのではなく、相応しい場所に相応しい機能を配置すれば良いのではないかと私は思っています。
50年前、私が学生だった頃には携帯電話などはなく、ポケットベルの時代でした。
今や、携帯電話は小型のコンピューターと化しています。
また、新たに病院を建設しても何十年かが経過すると、いつか建て替えを行わなければならない時期がやってきます。
50年後の未来の社会を想像して、今必要なものを建設しなくてはならないのではないかと考え、次の段階として地元の方々を含めたヒュ―チャーセッションが欠かせないと思っています。
狭小な場所に大きな建物を建てた場合には、効率よく建て替えが出来る現地建替えが困難になるようにも思いますので、未来の建て替えも考慮した新センターの機能や規模を検討していく必要があるのではないでしょうか。
もし、西和医療センターの全部移転が行われると、現センター内には数年前に再整備された看護大学校だけが敷地内に残ることとなります。
そこで知事にお伺いします。
新西和医療センターの整備に向けて、移転建て替えを行うにしても、候補地とされるJR王寺駅南でまちづくりのために確保できる土地が限られていること、また、医療分野におけるデジタル化の進展などを考慮し、現センターの機能や施設全体を移転対象とするのではなく、例えば、一部診療科の外来だけを移転し、サテライト機能を持たせるなど、柔軟に検討する必要があると考えます。ご所見をお聞かせください。
また、地方独立行政法人奈良県立病院機構看護大学校の整備場所の検討も同時に必要と考えますが、いかがでしょうか。
【知事答弁】
西和医療センターの整備につきまして、まず、どういう病院を目指すかという課題があります。昨年度までに、西和地域での今後の高齢人口の動向等を踏まえた上で、必要となる医療について調査・分析を行いました。このたび「新西和医療センター整備基本構想(案)」として、とりまとめたところです。
この構想案では、新センターの基本コンセプトを「西和地域における重症急性期を担う基幹病院」としたところです。2次救急病院としての救急医療の充実や、今後、増加が見込まれます、脳卒中・循環器病、がん、骨折などの筋骨格系症例等の重症急性期疾患に対応できる診療機能の充実を目指すこととしたものです。
新病院の整備については、現地建替か移転建替という選択肢があります。現地建替では、新たな用地取得は不要ですが、現敷地が傾斜地である上、余剰地が少ないというハンディがあります。医療機能を維持しながら建替工事を進めることには、相当な困難が見込まれます。
一方で、移転候補地としているJR王寺駅南側地区は、公共交通機関によるアクセスに優れ、工事期間中も医療機能を制限することなく、また、現地建替より短い工期で整備できる等のメリットがあります。
これらを踏まえると、「現地建替」よりJR王寺駅南側地区への「移転建替」が望ましいと考えています。また、西和7町もこの王寺駅南側への移転建替を要望されています。
また、議員からは、施設全体を移転対象とするのではなく、外来等機能の一部だけを移転し、サテライト機能を持たせる計画としてはどうかとのご意見を伺いました。
病院機能の分散か集中かというテーマであろうかと思います。
診療機能を分散させることは、施設間を患者に移動いただくことにもなり、医療の提供方法としては課題があると言われております。
また、機能分散により医療従事者を増やす必要がありますが、現在、医師等の働き方改革が求められる中、必要な医療従事者の確保が課題となっており、容易なことではないと考えます。
さらに、検査機器等の二重投資も懸念されるため、医療資源を分散して配置するよりも、機能を集中・集約化する方がよいと考えます。
なお、現西和医療センターの隣にある奈良看護大学校については、必ずしも病院に隣接している必要はなく、センター移転とは別に検討すれば良いと考えているところです。
【再質問】
西和医療センターの位置的平面的に占める割合が非常に大きく、JR王寺駅の南部分の王寺町の施設、JRの施設を加えて約1ヘクタールの中で施設整備を計画されると思いますが、現在のコロナ禍が一段落すると、国をあげて医療分野のデジタル化が進展する可能性があり、デジタル化により在宅医療への流れが加速していくと考えています。令和4年度、令和5年度の2カ年で作成される基本計画はデジタル化を考慮した計画にすべきだと考えますが、知事の意見をお伺いしたい。
【知事再答弁】
デジタル化は、あらゆる分野で進展しており、これで終わりということがないテーマです。従いまして、医療のデジタル化において大切なのは、拡張性・発展性のあるデジタルシステムを構築することではないかと思います。
日本では医療の分野におけるデジタル化が、それほど進んでいないと考えていますが、早く取りかかり、今後さらに進んだものを取り入れられる素地を作っておくことが大切だと思います。
また、システムそのものよりも、人材の育成や住民との関係、あるいはシステムを利用する医師のメンタリティ等が大切だと思います。それらは、どのようなデジタルシステムにおいても大切なことですので、システムの発展・拡張と並行して実施するため、それらを踏まえた基本計画を作成し、デジタル化を早くスタートさせることが重要と考えています。
次に、西和医療センターに関連する王寺駅周辺のまちづくりについてです。
王寺駅周辺のまちづくりは、現在、駅南地域の西和医療センターの移設を含むまちづくりについて、王寺町と奈良県が協働で検討を進め、また、駅北地域でも王寺町が住民協議会を設立し、防災やにぎわいの創出に向けたまちづくりの検討を進めています。
この地区は、商業地域に指定されており、駅北側の再開発地区を除き、建蔽率は80%、容積率は400%、高度は31mとなっていますが、王寺駅北地域の北側には、約100mの川幅を有する大和川が流れており、北側日照を考慮しても、相当の高さまでの建築が可能と思われます。
また、王寺駅南側のJR電車留置線のエリアと駅構内も商業地域に位置付けられていますが、西和医療センターの移設に伴って、この土地の有効活用に向けて、空間利用や民間の投資誘導を働きかけていくことは、西和地域全体のまちづくりに大きな影響があると考えます。
土地利用の基本的なあり方として、商業利用と住居とが近接するなどの好立地については、商業地域のより高度な利用を考えていけばどうかと以前より思っています。
JR王寺駅と近鉄王寺駅・新王寺駅は大和川と葛下川に挟まれた場所にあり、先ほど申し上げましたように、周辺でまちづくりに活用できるエリアは多くありません。この地域の発展には、ターミナル駅周辺の特性を踏まえますと、人口減少が続く今、商業を中心とした街づくりが最も適しているのではないかと私は考えます。
開示いただきました開示いただきました資料から推測しました新医療センターが建設されるだけでは、それがうまく進まないのではないかと懸念しています。
そこで、知事にお伺いします。
JR王寺駅周辺において、特に商業の振興面で、王寺町と協働し、王寺駅南の電車留置線や駅構内を含む商業地域のまちづくりをどのような考え方で進めていかれるのかお聞かせください。
【知事答弁】
王寺町では、JR王寺駅の利便性の高さから、これまで駅周辺や郊外で住宅地中心の開発が進められてきました。駅の南北にある駅前広場のバスターミナルからは、町内の住宅地をはじめ、周辺2市5町を結ぶ路線バスが発着するなど、西和地域最大の交通結節点となっています。
一方で、王寺駅周辺には青空駐車場や空き地等が点在するなど、十分に利用されていない土地も散見されます。また、郊外の住宅地においては、すでに開発から40年以上経過した地域もあり、住民の高齢化や空き家の発生、さらには王寺駅への路線バスの減便も懸念されるようになってきました。高齢化する住宅地の新たな課題というようにも見受けられます。
このような課題を踏まえ、県と王寺町は、平成28年に、王寺駅周辺地区のまちづくりについて、連携協定を締結しました。平成30年5月策定のまちづくり基本構想では、まちづくりのコンセプトを「西和地域の中核となる拠点機能の強化」とし、現在、県と町が協働して、検討を進めています。
具体的には、王寺駅周辺に商業施設や事業所を誘致するとともに、高さ規制を緩和して土地の高度利用を促進することが必要と考えております。それにより、都市機能の集積と強化を図ることで、西和地域の住みやすさが著しく向上すると考えられます。
また、先に述べましたように、高齢化により需要が高まる地域医療を充実させるため、駅南側への西和医療センターの移転整備の検討を本格化してまいります。広く分散した住宅地が、王寺町のみならず奈良県の特徴ですが、高齢化が進むにつれて、医療ケアが、分散的な住宅地でなく、中心地に集中して住むなり入院するなりといった傾向が出ていることは確かであります。
さらに、南口駅前広場の再整備など、交通結節機能の向上を図り、王寺駅から郊外の住宅地や周辺の観光地へのバス利用者等を増やすことで、公共交通の利便性を維持・拡大することも必要だと考えます。交通の利便という観点からは、リニア中央新幹線の奈良市附近駅の設置場所が重要だと思います。JR王寺駅とどのように結節するのかということが、これからの最大のテーマだと思っております。
このように、王寺駅周辺地区のまちづくりにおいては、商業の振興のみならず、これからの急激な人口減少・高齢化等を踏まえ、医療や公共交通等も含む生活全般にわたって、西和地域の中核となるまちづくりを進めることが必要だと考えています。
今後とも、まちづくり連携協定により王寺町を支援し、県と町の協働で、王寺駅周辺地区のまちづくりを進められたらと考えております。
③ 最後に、大規模広域防災拠点の整備と、陸上自衛隊駐屯地の誘致について伺います。
県では五條市に大規模広域防災拠点の整備を進めてこられ、今議会にⅠ・Ⅱ期整備の対象地であるゴルフ場用地の取得についての関連議案を提案されました。
早期に用地確保が出来ましたことは、地元自治体を含む担当部署の方々のご努力によるものと思い敬意を表します。
知事は令和4年5月末から総務省等を訪問され、同事業のⅢ期整備である2,000ⅿ級滑走路の整備などに対する財源の確保などを要望されたと聞き及んでいます。
Ⅲ期整備完成までには、約1300万㎥もの盛土が必要であるとも聞いています。
知事のお考えでは「リニア中央新幹線建設に伴う発生土」、「京奈和自動車大和北道路のトンネル掘削残土」、その他「近隣公共工事で発生する土砂」などを想定されているようですが、かねてから私は、リニア中央新幹線や京奈和自動車大和北道路の工程と、当事業のⅢ期工事との時期や土砂の発生量が合致するのか、本会議でも疑問を持ってご質問してきました。
また、Ⅰ・Ⅱ期整備は、盛土については、ゴルフ場部分の土地を一定の高さに造成するだけですが、Ⅲ期整備は、谷を埋めるとともに、今回取得されるゴルフ場用地の外側の非常に大きな面積にわたり大規模盛土を行う必要があり、長期間に亘ってその盛土を適切に管理する必要があること、また、事業の重要性を鑑みると、大規模盛土に関する確実な工事施工と、完成後、多額に上ると想定される維持管理費を考慮する必要があります。
この大規模防災拠点は、南海・東南海沖トラフで発生が見込まれる巨大地震など、紀伊半島全域に被害が及ぶ災害の発生時に、広く紀伊半島全体をカバーし、大量かつ迅速な人員・物資の輸送等を担うことが想定されており、紀伊半島の他の2県、すなわち三重県、和歌山県からも、早期整備について大いに期待されており、Ⅲ期整備が完了すれば、県域を超えた広域的な便益が発生します。
紀伊半島には、国が定めた中央防災会議幹事会において、情報収集、人命救助、医療活動、物資の受入れ・集積・分配等を総合的かつ広域的に行う『大規模な広域防災拠点』と位置付けられた防災拠点が存在しませんでしたが、知事の粘り強い交渉により6月17日に「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」の改定が行われ、紀伊半島における大規模な広域防災拠点に位置付けられたと報告を受けました。
荒井知事の交渉力、行動力に敬意を表します。
私は、来たる南海・東南海沖トラフにおける巨大地震で想定される被害の大きさや、本事業のⅢ期整備による広域的な便益を考えると、このような広域拠点整備は、国が主体となって責任を持って行うべきと思っています。
そこで知事にお伺いします。
Ⅲ期整備後の大規模広域防災拠点は、奈良県のみならず三重県、和歌山県等への広域的な災害被害への基幹的な対応機能を持つことから、Ⅲ期整備については、事業の重要性や完成後の維持管理などを考慮し、用地の確保を含めて国が実施主体となって行われるべきと考えますが、いかがでしょうか。
【知事答弁】
最近頻発している地震や異常気象による風水害などの大規模災害、近い将来発生が確実視される南海トラフ巨大地震の発生時に備え、本県はもとより周辺地域にとって、救助要員の集結、救援物資の集積・配送などに、優れた防災機能を有する広域防災拠点の整備が是非とも必要であると思っています。
最近でも3月の福島県沖の震度6強の地震や、先日6月19日にも石川県能登地方で震度6弱の地震が発生するなど、災害はいつどこで起こるか予測できません。南海トラフ地震につきましても、近いうちに必ず起きると言われている大規模災害です。早期に防災拠点としての事業効果を発現する必要があるため、県が主体となって大規模広域防災拠点の整備に取り組んできました。
その整備に充てる財源として、緊急防災・減災事業債の適用を国に要望しており、理解を得ています。事業費の7割程度が国から交付されるため、国に相当部分を負担していただくことになります。
また、国の「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」についても継続的に要望を行っており、その結果、先日6月17日に公表された国計画において、奈良県大規模広域防災拠点が整備途上にもかかわらず位置付けられたところです。紀伊半島における大規模広域防災拠点の必要性を国に正式に認めていただいたものであり、本県としても誠に喜ばしいと思っています。
国が主体となる大規模広域防災拠点には、既設の地方空港が多いものでございます。そのような空港であっても地方の負担は通常、2分の1でございます。緊急防災・減災事業債によりますと、地方の負担は3割に過ぎませんのでそれよりも国の負担は高率であるとかねてから思っています。より有利な国の負担と思っています。
今後も国の強力なご支援を賜りながら、大規模広域防災拠点の整備をできるだけ早期に進めていくことができればと思っています。
また、この大規模防災拠点の整備については、県において、当初、陸上自衛隊の駐屯地誘致を検討されていた経緯があります。
現在、冒頭でも申し述べましたように、国連の常任理事国であるロシアが、国連憲章を無視して、隣国ウクライナを侵略していますが、そのロシアは、わが国の北側の隣国でもあります。また、わが国の西側には中国や北朝鮮があり、それぞれ核武装を行い、わが国の安全保障にとって、大きな脅威となっています。
ロシアによるウクライナ侵略は全世界に大きな恐怖を与えていますが、わが国にとっても、決して他人事ではありません。
岸田首相はこの事態を受けて、現在5兆円余りの防衛関係費を大幅に増額する方針を示しておられます。一方、防衛関係費のうち人件・糧食費が40%余り、営舎費・被服費・訓練活動経費などの維持費が20%余り、基地対策経費と米軍再編関係経費が合わせて10%余りとなっていると聞いています。
これら合わせて全体の3/4程度は、自衛官や基地が増加しないと、そんなに大きく増える費用ではないと思います。
知事は、かつて自衛隊の誘致についてはいったん凍結するとの判断を示されましたが、今般、岸田首相が防衛関係費を大きく増額する方針を示したこの時機が、本県に陸上自衛隊駐屯地の再誘致を行う大きな好機だと思います。
政治の最も大きな責任は、国民の生命と財産を守ることであり、現下の国際情勢を踏まえると、再度、本県への陸上自衛隊駐屯地の誘致を検討すべきと考えます。
知事のご所見を伺います。
【知事答弁】
経緯がございますので簡単にご紹介申し上げます。本県では、令和2年まで、防災力向上のために、大規模広域防災拠点の整備と自衛隊駐屯地の誘致活動を併せて進めてまいりました。陳情先は防衛省でございました。自衛隊誘致の要望活動の中では、奈良県における駐屯地の必要性についてはご理解いただいているように思いましたが、自衛隊の主たる任務は、防災ではなく防衛であるということを度々言われたことが記憶に新しいものでございます。駐屯地誘致の実現には時間がかかることを感じてまいりました。
一方、先ほど述べたとおり、災害がいつ起こるのか分からない状況の中、防災のための施設は、早急に作り災害に備える必要があります。併せて、大規模広域防災拠点の整備には、国からの手厚い支援が得られる見通しであります。これも東日本大震災が発生した後の補助事業でございますので、県が事業主体となって、優先的に整備を進めていくチャンスが訪れたと思った次第でございます。
防災面における自衛隊の必要性は、本県にとっても大きなものであると思います。平成23年の紀伊半島大水害発生時において、9月4日から10月14日に延べ1万1千人余りの自衛隊の派遣を受けて、救命救助や行方不明者捜索等にあたっていただき、また鳥インフルエンザ発生時の鳥の殺処分などにもご協力いただいております。これらのことから、本県における自衛隊に期待する役割は極めて大きいため、自衛隊との連携は今後ともますます重要であると考えます。
また、自衛隊ではございませんが、先日、海上保安庁第五管区海上保安本部と奈良県が連携協定を締結しました。海上保安本部と地方組織(都道府県)との包括連携協定は初めてのことだということです。大規模広域防災拠点ができますと、海上保安庁にも航空機やヘリコプターがございますし、山の中の救難や山火事の消火活動にも活躍されてございますのでそのような面での広域防災拠点の活用も見込まれているところでございます。
大規模広域防災拠点の整備にあたっては、その運用等について、自衛隊、消防、警察や海上保安庁などの関係機関の意見を伺いながら、防災拠点としての早期効果発現に向けての検討を進めて参りたいと思います。
【再質問】
大規模広域防災拠点が、海保と連携をしたということは非常に喜ばしいことだと思います。知事も以前は海上保安庁の長官をされていました。海上保安庁自身、年間の予算は、奈良県の予算の半分ぐらいしかございません。航空機にしても約90機、それと艦艇が70隻程度です。それで日本全国11管区でカバーをしていただいておりますので、是非とも我々のところだけが得をするということではありませんので、この大規模防災拠点の中で、自衛隊、警察、消防、さらには海上保安庁、これらがミックスすることが大事だというふうに思います。
さらに、京都に文化庁が移転することになったが、消防庁を大規模広域防災拠点に誘致する気持ちで取り組んでいただきたいがどうか。
【知事再答弁】
国の組織を地方に分散させるのは、賛否両論がございます。国の組織を地方に分散させるのは、基本的にいいことではないと思っております。コロナ対策でも課題となりましたのは、中央の司令塔の脆弱性でございます。危機管理は特に集中した司令塔の機能が高度かどうかが一番大事なことでございます。
文化の司令塔というのは、危機管理とちょっと違う面がございます。文化の方はいろんな人が、文化の発展をいろんな角度でされるのが文化じゃないかと思っております。文化庁の建物は京都に行きましたが、文化庁長官は奈良に取り込むことができました。青柳さんでございます。人材の方がはるかに大事だと私は思っております。文化は人材だと思います。
危機管理は組織、中枢の機能だと思いますので、中枢の機能を、奈良は安全なので災害に襲われない、ヘッドクォーターというのはとても大事でございますので、中枢が安全保障上、災害のみならず爆撃に襲われないというのは大事でございますので、それは中央でも確保していただきたいと思いますが、奈良に来ると災害には強いと思いますが、爆撃などに安心かどうかという点については、まだ保障ができないように思います。
やはりあらゆる角度での危機管理のヘッドクォーターは何があっても、それは最後にまで残るというような組織でないといけませんし、ヘッドクォーターは集中した情報と、情報収集していい判断ができるというのは日本で最も欠けている機能であろうかと思いますので、消防庁もその一つだと思いますので、組織の分散は基本的には好ましくないと思います。
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